情報処理学会 第218回自然言語処理研究会

◎ 日程: 2014年9月1日(月)・2日(火)

◎ 会場: 首都大学東京南大沢キャンパス6号館
http://www.tmu.ac.jp/university/campus_guide/access.html

◎ 交通アクセス: 京王線相模原線「南大沢」駅改札口から徒歩約5分

◎ 研究発表の動画収録・中継の試行
2014年5月の研究会以降,インターネットを利用した研究発表の動画収録・中継
を試行しています.基本的にすべての発表を試行の対象としていますが,発表者
の希望に応じられますので,研究発表の当日にその旨お伝えください.中継は
SIGMUS(情報処理学会音楽情報科学研究会)で先行して試行されている動画配信
と同様の実施方法を検討しています.
http://www.sigmus.jp/?page_id=966

配信サイトはこちら

◎ 照会先:

* 研究会・会場に関する問い合わせ先:
小町 守(首都大学東京)
E-mail: komachi (at) tmu.ac.jp

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プログラム(発表件数9件)

9月1日(月) 13:30〜17:00
[13:30〜15:00] 意味・談話解析 [3件]
[15:30〜17:00] 形態素・構文解析 [3件]

9月2日(火) 9:30〜12:00
[09:30〜10:30] 言語学・アノテーション [2件]
[10:45〜12:00] 招待講演 [1件]

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9月1日(月)13:30〜17:00

■ 13:30〜15:00 意味・談話解析 (3件) ■

座長: 藤田 早苗(NTT コミュニケーション科学基礎研究所)

( 1) オブジェクト指向的アプローチによる係り受け/語義曖昧性解決/照応解析/
述語項解析システム

伊藤 英紀 ((株)富士通研究所)

係り受け解析、語義曖昧性解決、照応解析、および述語項解析の4つのタスクに
対する新たなアプローチを提案する。第一に、これら4つの処理を、逐次的(パイ
プライン的)にでなく同時に行う。これにより、逐次的に行うよりも解析精度が
向上することが期待される。第二に、文中の名詞をオブジェクトに対応させ、
それらオブジェクトの属性とその変化をトラッキングする。形容詞は一般にオブ
ジェクトの属性を、動詞はそれらオブジェクト属性の変化を表す、と考える。
これにより、文脈の情報を解析結果に反映させることが可能となる。このような
意味理解のモデルは、人間が脳で行っているであろう理解プロセスに近く、自然
言語理解には有望なアプローチである。このアイデアに基づいたシステムを実装
し、例文に対して動作を確認した。

( 2) uLSIF を用いた事例への重み付けによる語彙曖昧性解消の領域適応

新納 浩幸, 菊池 裕紀, 佐々木 稔, 古宮 嘉那子 (茨城大学工学部情報工学科)

語彙曖昧性解消の領域適応に対して共変量シフト下の学習を試みる。確率密度比
の算出に uLSIF を用いる。このとき通常のガウスカーネルではなく線形カーネ
ルを利用する、また重み付き学習には、通常、最大エントロピー法を用いるが、
ここでは SVM を利用する。また確率密度比が極端に小さい、あるいは大きい事
例のみに重みを与える方法も試す。

( 3) 周辺語義モデルによる日本語の教師無し語義曖昧性解消

佐々木 悠人 (東京農工大学), 古宮 嘉那子 (茨城大学), 森田 一
(京都大学), 小谷 善行 (東京農工大学)

本研究では,多義語の周辺に現れる語義の分布を利用する周辺語義モデルを提案
し,日本語に対する教師無しのAll-wordの語義曖昧性解消を行った.システムに
はEDR電子化辞書による概念体系辞書を組み込み,実験はEDRの日本語コーパスを
用いて行った.ランダムベースラインおよびトピックモデルを用いた実験結果と
比較したところ,周辺語義モデルは語義数の多い多義語に対して特に優れた結果
を示した.

■ 15:30〜17:00 形態素・構文解析 (3件) ■

座長:森田 一(京都大学)

( 4) 専門用語抽出における形態素辞書変更の効果

小山 照夫 (国立情報学研究所), 竹内 孔一 (岡山大学大学院自然科学研究科)

専門用語抽出にあたっては、分野依存の形態素を登録することにより、抽出精度
を改善できる可能性がある。今回、分野依存の形態素を中心に、形態素辞書を編
集を試みた結果について発表する。

( 5) 遷移に基づく依存構造解析アルゴリズムに対する組み合わせ論的議論の援用

東 藍, 松本 裕治 (奈良先端科学技術大学院大学)

遷移に基づく依存構造解析アルゴリズムは,解析速度が速いことと,解析履歴を
各段階の素性として利用できる利点を理由に広く用いられている. この種のア
ルゴリズムに対して,健全性,完全性,疑似的曖昧性の有無などの興味ある性質
を論じることができる. しかし,それらの性質を具備していることを厳密に証
明する,あるいはそれらの性質を具備した新たなアルゴリズムを着想する,など
とった作業には系統的なあり方があるわけではなく,試行錯誤に頼ることになる.
本稿では,遷移に基づく依存構造解析アルゴリズムに関するこのような作業過程
において,組み合わせ論的議論が有効に活用できる可能性があることを示す.
また,実際に組み合わせ論的議論を援用した着想に基づいて,健全かつ完全かつ
疑似的曖昧性の無い遷移に基づく非交差依存構造解析アルゴリズムを構成する例
を示す.

( 6) Supertagの曖昧性を考慮した依存構造解析

大内 啓樹, Kevin Duh, 進藤 裕之, 松本 裕治 (奈良先端科学技術大学院大学)

詳細な統語的情報を表現可能なSupertagを依存構造解析において利用する際に,
Supertag付与精度が高精度な依存構造解析実現の鍵を握る.本研究では,
Supertag付与の際に各単語に1つのSupertagを付与するのではなく,複数の
Supertagを付与することで曖昧性を残し,依存構造解析の際にその曖昧性を解消
することで依存構造解析精度向上をねらう.

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9月2日(火)9:30〜12:00

■ 9:30〜10:30 言語学・アノテーション (2件) ■

座長:松吉 俊(山梨大学)

( 7) 算数教育と世界歴史言語学

柴田 勝征 (言語研究アソシエーション)

福岡県の算数教育実践研究サークルの教師たちは、30年の実践の中で数々のユ
ニークな成功例を導き出してきた。なぜ、教科書の教え方をちょっと変えるだけ
で、「落ちこぼれゼロ」の素晴らしい結果が得られるのか。その原因を探ってい
く中で、認知と言語の発達史に関する驚くべき事実が浮かび上がって来た。人類
の認知のあり方には、ズームアウト型(トップダウン型=”西洋脳”)とズーム
イン型(ボトムアップ型=”東洋脳”)があり、各民族ごとに、どちらのタイプ
の人間が多いかがほぼ決まっている。そして、その認知型とその民族の言語の文
法構造には、非常に強い相互作用(抗争・対立/協調・協力)の歴史があった。

( 8) 比較記述テキスト生成のための属性選択

飯田 諒, 飯田 龍, 徳永 健伸 (東京工業大学 大学院情報理工学研究科)

言語生成における参照表現生成では,特定の対象をあいまい性なく簡潔に指示す
る言語表現を生成することを目的として,研究がおこなわれてきた.これに対し
て我々は,複数の対象を横並びで比較するテキスト (比較記述テキスト)の生成
を目指している.その第一歩として複数の対象を複数の観点から評価した評価表
から人間が生成した比較記述テキストを収集し,比較記述テキストの生成におけ
る対象の属性選択の傾向について分析をおこなった.本稿ではテキストの収集方
法,およびアノテーション結果に加え,分析結果について報告する.

■ 10:45-12:00 招待講演 (1件) ■

( 9) 持続可能なコーパスアノテーションについて考える ~述語項構造アノテーションを例にとって~

松林 優一郎 (東北大学)

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★ 研究報告のペーパーレス化

本研究会はペーパーレスでの開催となり,印刷した研究報告の配布を行い
ません.また,特許出願の公知日(研究報告の公開日)が従来より1週間
早まりますので,ご留意ください.

※自然言語処理研究会に登録されている方
研究報告は研究発表会の1週間前に電子図書館と当日閲覧用サイトで公開
します.当日は資料をプリントアウトしてご持参いただくか,ご自身の
PCにダウンロードのうえ,ご持参ください.

情報処理学会電子図書館(情報学広場)
https://ipsj.ixsq.nii.ac.jp/ej/ (ユーザ登録が必要です)
当日閲覧用サイト
http://www.ipsj.or.jp/sig-reports/

※自然言語処理研究会に登録されていない方
当日受付で本研究発表会の資料閲覧用にUSBメモリを貸し出します.
当日はノートPC等をご持参ください.なお,当研究会にご登録頂くことで,
本研究会の資料をバックナンバーも含めて電子図書館で購読できます.
登録されていない方は,是非この機会に研究会に登録してください
(登録まで最大3日かかりますのでご留意ください).