自然言語処理研究会では、自然言語処理に関する研究開発を幅広くタイムリー
に奨励することを目的として、第220回研究会から新しい表彰制度「自然言語
処理研究会優秀研究賞」を設置しました。これは、各回の研究会において投稿さ
れる予稿の中から新規性、有用性、斬新性、将来性等の点で特に優れたものを
表彰するものです。表彰件数は全体の10%程度とし、研究会の幹事と運営委員
からなる選考委員会が選考します(選考委員はCOIを考慮して選出し、幹事に
COIがある場合にはCOIのない幹事または運営委員にて選考委員会を開催します)。
選考は事前に行い、研究会開催時の最後に発表・表彰します。また、表彰論文
は原則として情報処理学会論文誌ジャーナルに「推薦論文」として推薦されます。
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「畳み込みニューラルネットワークを用いた複単語表現の解析」
進藤 裕之,松本 裕治 (奈良先端科学技術大学院大学)
本研究では、畳み込みニューラルネットを用いて複単語表現の同定と品詞タグ付けを
同時に行う複単語表現解析手法を提案している。提案手法は複単語表現が連続する
単語群から成るか、非連続である単語群から成るかに問わず適用可能であり、また
素性テンプレートを不要としつつ、従来手法に比べて高精度な解析精度を達成しており、
その有用性は高い。著者らの主張するとおり「文字の組み合わせが単語を構成し、単語
の組み合わせが複単語表現を構成する」という言語が持つ階層性を自然な形でモデル化
しており、さらなる拡張の可能性も高く、優秀研究賞に値する。
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選考基準・選考方法について暫くは試行錯誤の必要があると思いますが、制度
の不備を恐れて設置を躊躇するよりは、たとえ不完全なものであっても、優れ
た研究を賞賛する機会を少しでも増やし、研究コミュニティ全体を盛り上げて
いく方が良いと考えています。自然言語処理を愛するすべての人にとって有益
な賞に育てていきたいと考えていますので、ご意見、アイデアなどお寄せいた
だければ幸いです。
情報処理学会自然言語処理研究会研究運営委員会
主査:
乾 健太郎 東北大学
幹事:
荒瀬 由紀 大阪大学
岡崎 直観 東北大学
木村 俊也 ミクシィ
小町 守 首都大学東京
森 信介 京都大学
運営委員:
赤峯 享 日本電気
浅原 正幸 国立国語研究所
荒牧 英治 京都大学
石野 亜耶 広島経済大学
金丸 敏幸 京都大学
古宮 嘉那子 茨城大学
高橋 哲郎 富士通研究所
新里 圭司 楽天
鈴木 祥子 日本アイ・ビー・エム
数原 良彦 リクルートホールディングス
高橋 哲郎 富士通研究所
高村 大也 東京工業大学
堂坂 浩二 秋田県立大学
徳永 拓之 スマートニュース株式会社
西川 仁 日本電信電話
二宮 崇 愛媛大学
橋本 力 情報通信機構
藤田 早苗 日本電信電話
牧野 貴樹 グーグル
松崎 拓也 名古屋大学
ミハウ プタシンスキ 北見工業大学
宮尾 祐介 国立情報学研究所
村脇 有吾 九州大学
若木 裕美 東芝
Kevin Duh 奈良先端科学技術大学院大学