第223回自然言語処理研究会優秀研究賞

自然言語処理研究会では、自然言語処理に関する研究開発を幅広くタイムリー
に奨励することを目的として、第220回研究会から新しい表彰制度「自然言語
処理研究会優秀研究賞」を設置しました。これは、各回の研究会において投稿さ
れる予稿の中から新規性、有用性、斬新性、将来性等の点で特に優れたものを
表彰するものです。表彰件数は全体の10%程度とし、研究会の幹事と運営委員
からなる選考委員会が選考します(選考委員はCOIを考慮して選出し、幹事に
COIがある場合にはCOIのない幹事または運営委員にて選考委員会を開催します)。
選考は事前に行い、研究会開催時の最後に発表・表彰します。また、表彰論文
は原則として情報処理学会論文誌ジャーナルに「推薦論文」として推薦されます。

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「畳み込みニューラルネットワークを用いた複単語表現の解析」
進藤 裕之,松本 裕治 (奈良先端科学技術大学院大学)

本研究では、畳み込みニューラルネットを用いて複単語表現の同定と品詞タグ付けを
同時に行う複単語表現解析手法を提案している。提案手法は複単語表現が連続する
単語群から成るか、非連続である単語群から成るかに問わず適用可能であり、また
素性テンプレートを不要としつつ、従来手法に比べて高精度な解析精度を達成しており、
その有用性は高い。著者らの主張するとおり「文字の組み合わせが単語を構成し、単語
の組み合わせが複単語表現を構成する」という言語が持つ階層性を自然な形でモデル化
しており、さらなる拡張の可能性も高く、優秀研究賞に値する。

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選考基準・選考方法について暫くは試行錯誤の必要があると思いますが、制度
の不備を恐れて設置を躊躇するよりは、たとえ不完全なものであっても、優れ
た研究を賞賛する機会を少しでも増やし、研究コミュニティ全体を盛り上げて
いく方が良いと考えています。自然言語処理を愛するすべての人にとって有益
な賞に育てていきたいと考えていますので、ご意見、アイデアなどお寄せいた
だければ幸いです。

情報処理学会自然言語処理研究会研究運営委員会

主査:
乾 健太郎 東北大学

幹事:
荒瀬 由紀 大阪大学
岡崎 直観 東北大学
木村 俊也 ミクシィ
小町 守 首都大学東京
森 信介 京都大学

運営委員:
赤峯 享 日本電気
浅原 正幸 国立国語研究所
荒牧 英治 京都大学
石野 亜耶 広島経済大学
金丸 敏幸 京都大学
古宮 嘉那子 茨城大学
高橋 哲郎 富士通研究所
新里 圭司 楽天
鈴木 祥子 日本アイ・ビー・エム
数原 良彦 リクルートホールディングス
高橋 哲郎 富士通研究所
高村 大也 東京工業大学
堂坂 浩二 秋田県立大学
徳永 拓之 スマートニュース株式会社
西川 仁 日本電信電話
二宮 崇 愛媛大学
橋本 力 情報通信機構
藤田 早苗 日本電信電話
牧野 貴樹 グーグル
松崎 拓也 名古屋大学
ミハウ プタシンスキ 北見工業大学
宮尾 祐介 国立情報学研究所
村脇 有吾 九州大学
若木 裕美 東芝
Kevin Duh 奈良先端科学技術大学院大学

第221回自然言語処理研究会優秀研究賞

自然言語処理研究会では、自然言語処理に関する研究開発を幅広くタイムリー
に奨励することを目的として、第220回研究会から新しい表彰制度「自然言語
処理研究会優秀研究賞」を設置します。これは、各回の研究会において投稿さ
れる予稿の中から新規性、有用性、斬新性、将来性等の点で特に優れたものを
表彰するものです。表彰件数は全体の10%程度とし、研究会の幹事と運営委員
からなる選考委員会が選考します(選考委員はCOIを考慮して選出し、幹事に
COIがある場合にはCOIのない幹事または運営委員にて選考委員会を開催します)。
選考は事前に行い、研究会開催時の最後に発表・表彰します。また、表彰論文
は原則として情報処理学会論文誌ジャーナルに「推薦論文」として推薦されます。

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「逐次最適解更新による頑健な単語分散表現の学習方式」
鈴木 潤,永田 昌明 (日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーション科学基礎研究所)

近年注目を浴びている分散表現の学習に適用できる学習方式を提案しています。
非凸なLBLモデルの学習が双凸最適化問題になっていることを示し、解析的に求
まる最適解を繰り返し求めることで、より良い解を見つけています。学習方式
にいくつか良い性質があることを示し、実験により、従来法よりも良い解が求
まることを示しています。

「対数的共起ベクトルの加法構成性」
田 然,岡崎 直観,乾 健太郎 (東北大学)

分布表現におけるベクトルの足し算が共起の良い近似になっていることを示し、
特異値分解による単語埋め込みはSkip-Gramなどの最先端の分散表現に匹敵する
ことを実験により示しています。周辺文脈にジップ則が成り立つことを仮定す
ると上記の加法構成性が成り立つことが証明でき、実験によって、周辺文脈に
ジップ則が成り立つことを示しています。ベクトル表現による意味論に関する
理論的な研究で、非常に面白いと思います。

推薦論文について、前者は研究・論文としての完成度の高さが評価されました。
一方後者は、発想の意外性、理論的な面白さが評価されており、対照的な良さ
を持った論文と評価されました。そのため今回は2件推薦したいという結論に至
りました。
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選考基準・選考方法について暫くは試行錯誤の必要があると思いますが、制度
の不備を恐れて設置を躊躇するよりは、たとえ不完全なものであっても、優れ
た研究を賞賛する機会を少しでも増やし、研究コミュニティ全体を盛り上げて
いく方が良いと考えています。自然言語処理を愛するすべての人にとって有益
な賞に育てていきたいと考えていますので、ご意見、アイデアなどお寄せいた
だければ幸いです。

情報処理学会自然言語処理研究会研究運営委員会

主査:
乾 健太郎 東北大学

幹事:
荒瀬 由紀 大阪大学
岡崎 直観 東北大学
木村 俊也 ミクシィ
小町 守 首都大学東京
森 信介 京都大学

運営委員:
赤峯 享 日本電気
浅原 正幸 国立国語研究所
荒牧 英治 京都大学
石野 亜耶 広島経済大学
金丸 敏幸 京都大学
古宮 嘉那子 茨城大学
高橋 哲郎 富士通研究所
新里 圭司 楽天
鈴木 祥子 日本アイ・ビー・エム
数原 良彦 リクルートホールディングス
高橋 哲郎 富士通研究所
高村 大也 東京工業大学
堂坂 浩二 秋田県立大学
徳永 拓之 Preferred Infrastructure
西川 仁 日本電信電話
二宮 崇 愛媛大学
橋本 力 情報通信機構
藤田 早苗 日本電信電話
牧野 貴樹 グーグル
松崎 拓也 名古屋大学
ミハウ プタシンスキ 北見工業大学
宮尾 祐介 国立情報学研究所
村脇 有吾 九州大学
若木 裕美 東芝
Kevin Duh 奈良先端科学技術大学院大学

第220回自然言語処理研究会優秀研究賞

■ 「自然言語処理研究会優秀研究賞」の新設 ■

自然言語処理研究会では、自然言語処理に関する研究開発を幅広くタイムリー
に奨励することを目的として、第220回研究会から新しい表彰制度「自然言語
処理研究会優秀研究賞」を設置します。これは、各回の研究会において投稿さ
れる予稿の中から新規性、有用性、斬新性、将来性等の点で特に優れたものを
表彰するものです。表彰件数は全体の10%程度とし、研究会の幹事と運営委員
からなる選考委員会が選考します。選考は事前に行い、研究会開催時の最後に
発表・表彰します。また、表彰論文は原則として情報処理学会論文誌ジャーナ
ルに「推薦論文」として推薦されます。

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「隠れセミマルコフモデルに基づく品詞と単語の同時ベイズ学習」
内海 慶,塚原 裕史 (デンソーアイティーラボラトリ),
持橋 大地 (統計数理研究所)

本論文では単語の境界と品詞に相当する隠れクラスを同時に学習す
る教師なし形態素解析手法が提案されており、提案モデルを用いる
ことで分かち書きおよび品詞(隠れクラス)付与を行うことが可能
である。品詞の付与は、従来の教師なし形態素解析手法では扱われ
ておらず、手法の新規性・独創性は高い。高速化等の課題はあるが、
今後の展開に期待ができる。

「意味と構造の構成演算と類似度学習における非線形性」
椿 真史,Duh Kevin,新保 仁,松本 裕治 (奈良先端科学技術大学院大学)

本研究は文間の意味的類似度を扱うものであり、単語ベクトル空間
モデルにおける意味の構成性とカーネル法による非線形類似度学習
の2つのアプローチを融合する新規性の高い手法により、シンプル
で実装が容易でありながら、既存研究の最高性能に迫る高い性能を
実現した点が高く評価できる。論文も新規性や優位性等に関してポ
イントが明確に述べられており、論文としての完成度も高い。

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選考基準・選考方法について暫くは試行錯誤の必要があると思いますが、制度
の不備を恐れて設置を躊躇するよりは、たとえ不完全なものであっても、優れ
た研究を賞賛する機会を少しでも増やし、研究コミュニティ全体を盛り上げて
いく方が良いと考えています。自然言語処理を愛するすべての人にとって有益
な賞に育てていきたいと考えていますので、ご意見、アイデアなどお寄せいた
だければ幸いです。

情報処理学会自然言語処理研究会研究運営委員会

主査
乾 健太郎 東北大学

幹事
岡崎 直観 東北大学
小町 守 首都大学東京
森 信介 京都大学

運営委員
赤峯 享 日本電気(株)
荒瀬 由紀 大阪大学
安藤 一秋 香川大学
金丸 敏幸 京都大学
木村 俊也 (株)ミクシィ
黒田 由加 (株)東芝
古宮 嘉那子 茨城大学
高橋 哲郎 (株)富士通研究所
新里 圭司 (株)楽天
鈴木 祥子 日本アイ・ビー・エム(株)
堂坂 浩二 秋田県立大学
西川 仁 日本電信電話(株)
橋本 力 独立行政法人 情報通信機構
桝井 文人 北見工業大学
松原 茂樹 名古屋大学
宮尾 祐介 国立情報学研究所
村田 真樹 鳥取大学
持橋 大地 統計数理研究所
Kevin Duh 奈良先端科学技術大学院大学